アジアの途上国から 主婦の戯言

日本人もそこそこ住んでるアジアの途上国で、専業主婦が綴るどうでもいい話。

グローバルキャリア志向もいいけれど...ここは途上国なんです

私が住んでいる国では、ここ数年若い起業家たちをよく見かけます。
私が初めてこの地を踏んだ10年以上前には、住んでいる日本人といえば、ほとんどが途上国を支援するNGOやNPOに関わる人だった気がします。

 

人件費が安く、働く世代の若者が沢山いて、ビジネスVISAの取得が容易なうえ、資金や規定などの面から見ても、日本よりはるかに容易に事業を始められる。

貧困国とはいえ、近年 国の発展は目覚ましく、お金を出せば日本とそう変わらない生活もできるし、そりゃもう行くしかないでしょ。

 

...なのかどうかは不明ですが、今は色んな人が、規模も様々にビジネスを展開しています。地元のものを使い、地元の人を雇用して、彼らが自立的に活動できるよう支援しながら事業を成長させている素晴らしい人が沢山います。
そんな素晴らしい活動に賛同し、感化された若い人たちは日本を飛び立ち、グローバル志向な学生は現地の状況を知ろうとスタディツアーに参加、遊び呆けていた自分の若い頃を思うと本当に頭が下がります。

 

その一方で、何だかなぁと思うこともあります。以前、うちの家族が出会った ある在住日本人の話ですが...
彼女は、大学を卒業してすぐにここへ越してきた。その後、小規模なホテルのGMになったらしい。←途上国によくある縁故ですかね?? 部下の態度と待遇の悪さに大きな不満を抱えていたようで、1年ほどでその仕事を辞めた。

 

その彼女の言葉がコレ。

「私●●ホテルのGMだったんですよ。GMって分かります? オーナーの次に偉いんですよ。それなのに、ものすごく給料安いし...」

 

ホテル業の経験どころか、社会人経験もなく、それらしい勉強をしたこともない。そんなGMおるかいな? GMを説明するのに「オーナーの次の偉い」ってのもなんか笑えるし、「GMって何だか知ってます?」って聞き返したくなります。

 

彼女が安いと言っていた給料より、はるかに安い給料で働く彼女の部下たちは、たぶん途上国によくあるタイプのゆる~い人たちだったに違いありません。
でも、ホテルで働くからには多少の外国語ができ、少なくとも市場で野菜を売っている人よりは、世間的に見て、お勉強のできる優秀な人なんだと思います。または家が裕福だったか。

 

私は「できる上司に上手く使われたい」と願う部下だったので、彼女の部下たちが気の毒でなりません。
日本に比べると、専門的な書籍もサイトも少ない、あっても現地語以外で書かれたものがほとんど、そして学ぶチャンスも少ない、そんなところだからこそ、ちゃんとした上司にちゃんとした仕事を指示してほしいんです。
これは、医師とか教師とか、先生と呼ばれる職業の人にも言いたい。

 

例えば、海外で日本語教師になるには、大抵の国で資格が必要だったり条件があったりします。でもここでは、勉強すらしたことがない私も、日本語教師になれます。
日本人だからって日本語を教えられるわけじゃないですよ。国語と日本語の違い、分かります? そんな疑問すら持てない教師がここにはいたりするんです。
外国語を話せるかどうかで、仕事の選択肢が広がり、収入にも大きく影響する国だから、学ぶ人は一生懸命です。こんなところだからこそ、ちゃんとした先生にちゃんとした指導をしてほしいんです。それがたとえ、ボランティアであっても。


話は変わって、ある日本語学校で事務をしている若い日本人、彼女は簡単なパソコン操作もできないようです。用事があって訪問したときの接客態度もいかがなものか、部屋の外で長く待たされましたが、室内からは無駄話が丸聞こえでした。いくらかのやり取りがあって、その要領の悪さから、本当に仕事のできない人だなと思いました。

 

彼女を雇っているのは、この地に長く暮らし、教師としての経験を積み上げてきた日本人です。沢山の生徒を育て、その功績も高く評価されています。でも、失礼ながら、部下の指導はいまいちのようです。

そりゃそうですよね、先生のいない長い間に、日本の事務職のレベルはびっくりするくらい上がっています。←これ、私のかつての同僚たちを眺めての感想ですが。

 

今後もこの地で暮らしていくであろう先生は、それでもいいんです。でも、まだ20代半ばくらいの彼女、ずっとここにいるつもりでしょうか? 余計なお世話ですが、あれじゃ日本に帰って仕事できませんよ。

 

海外インターンシップも流行ってますよね。私が住んでいるところでも、そのようなプログラムに参加して働いている人を見かけます。海外生活を経験しながら、実践的な外国語を身につけ、仕事も経験できるなんて素晴らしいことです。受入れ先がちゃんとしたところであればね。

 

こんな風に、みんな海外海外って。でも、ちょっと待って。
私が過去働いた会社には、それはそれはエレガントに事務をこなす素敵な女性がいました。途上国では絶対お目にかかれない丁寧で効率的な作業に、気配りの行き届いた対応、優れた観察力や分析力を持ち、常に先を読んだ行動をしていました。

 

「おもてなし」って言葉が流行りましたけど、日本人の心...ですか。でもそれをスマートに表現するのって、なかなか難しいことです。
できる彼女の仕事には、常に相手をもてなす心があったように思います。

 

内部統制、内部統制と言われるようになって、随分働きにくくなったなぁと思う日本の会社ですが、思い起こせばJSOX法の最初の年には、文書化やりすぎ? なんて話もあったくらいクソ真面目で、規則に忠実で、仕事が細かくて、丁寧で...そんな日本の会社、私は結構好きですよ。

 

日本のビジネスマナーとか丁寧な仕事ぶりから気づけることも、沢山あるんじゃないでしょうか。
海外に出るのもいいけれど、一度日本で働いてみるのもいいと思う。